投稿日:2025.08.18

ヒアルロン酸が吸収されるメカニズムと製剤別の吸収目安を解説

「ヒアルロン酸はどれくらいで吸収されるのか知りたい」

「ヒアルロン酸が吸収されて馴染む仕組みを、詳しく知りたい」

ヒアルロン酸注射を検討されている方から、このようなご質問をよくいただきます。

この記事では、ヒアルロン酸の吸収メカニズムや効果の持続期間について、ヒアルロン酸注入専門クリニックの立場から詳しく解説いたします。

ヒアルロン酸が吸収されるメカニズムと馴染むまでの期間

ヒアルロン酸は本来、人体に存在する成分です。通常、体内で作られたヒアルロン酸は、「ヒアルロニダーゼ」という酵素によって徐々に分解・吸収されます。

一方、ヒアルロン酸製剤は「架橋構造」と呼ばれる分子間の強固な結合が形成されているため、通常より吸収・分解を遅らせることができます。こうした構造により、吸収される時期が延び、長期間効果を維持することが可能です。

なお、注入したヒアルロン酸は、直後から約2週間かけて周辺組織に馴染んで広がる性質があります。注入部分がやや薄くなったように感じられることがありますが、これは、吸収されるためではなく、ヒアルロン酸が自然に馴染んでいる結果です。この期間を経て、より自然な仕上がりになります。

ヒアルロン酸が吸収されるまでの期間に違いが生じる理由

ヒアルロン酸の持続期間は、一般的に6~24ヶ月程度で個人差があります。この違いには以下の2つの要因が関与しています。

  • 注入量

ヒアルロン酸は体内組織と接触している部分から徐々に吸収されるため、一箇所への注入量が多いほど吸収が遅く、持続期間が延びる傾向があります。

  • 注入回数

2回目以降の注入では実感できる期間が長くなることが多く見られます。これは初回注入時に体内に残っているヒアルロン酸に追加する形となることから、より長期間の効果を実感しやすいためです。

製剤の種類・濃度の違い

ヒアルロン酸製剤にはさまざまな種類があり、粒子の大きさや濃度、架橋構造の違いによって硬さや持続期間が大きく異なります。硬めの製剤は比較的分解されにくく、持続期間が長い特徴があります。

例えば、頬や顎などしっかりと形を出したい部位には硬めの製剤を使用することが多く、一方、目元や唇など表情を良く動かす部位には柔らかい製剤を選択します。

ヒアルロン酸の種類施術部位目的効果の持続期間
ジュビダームビスタ
ボリューマXC
頬・こめかみ・額ボリュームアップ
リフトアップ
18~24ヶ月
ジュビダームビスタ
ボリフトXC
額・ほうれい線・眉間・目尻・目の下・ゴルゴライン・口元・マリオネットライン自然な仕上がりのしわ改善12~18ヶ月
ジュビダームビスタ
ボルベラXC
目元・口元口元のボリュームアップ
涙袋形成
12ヶ月
ジュビダームビスタ
ボラックスXC
顎・鼻輪郭形成
フェイスライン改善
18~24ヶ月
ジュビダームビスタ
ボライトXC
顔全体の小じわ・首保湿力向上
小じわ改善
保水性9ヶ月
小じわ4ヶ月
ジュビダームビスタ
ウルトラXC
浅いしわしわ改善9~12ヶ月
ジュビダームビスタ
ウルトラプラスXC
深いしわ・輪郭しわ改善・輪郭形成9~12ヶ月
ニューラミスライト涙袋・唇自然なボリュームアップ6ヶ月
ニューラミス目元・頬・ほうれい線しわ改善・ボリュームアップ6ヶ月
ニューラミスディープ額・こめかみ・顎パーツ形成・ボリュームアップ6ヶ月

製剤選択には効果の持続期間以外にもチェックポイントがあります。吸収されるまでのスピードを遅くするために硬い製剤を選ぶのではなく、施術部位やご希望に応じて、最適な製剤選択を行うことが大切です。

施術後のケアや生活習慣の違い

施術後のケアや生活習慣は、ヒアルロン酸の持続期間に影響を与える可能性があります。吸収を早める行為として、以下が挙げられます。

  • 喫煙、飲酒、激しい運動、サウナ、岩盤浴などの血行を促進する行為
  • 睡眠不足、過度な飲酒、食生活の乱れ、ストレスなど代謝を促進する要因
  • 過度なマッサージや圧迫

特に患部を触ったり揉んだりする行為は、ヒアルロン酸の形状変化や凸凹の原因となるだけでなく、感染症のリスクも高めます。注入直後は特に患部への刺激を避け、ヒアルロン酸が定着するまでは安静に過ごしていただくことをお勧めしています。

ヒアルロン酸が自然に馴染むまでの期間とポイント

ヒアルロン酸注入後、製剤が吸収されて自然な効果が感じられるように馴染むまでの期間の目安は2週間です。部位別の馴染み方と早く馴染ませるポイントを紹介します。

  • 目元や唇:血流が豊富でよく動くため、吸収速度も早めです。定期的に少量ずつ補うことで、自然で美しい仕上がりが続きます。

  • 頬や口元:皮膚が厚いため、ヒアルロン酸の粘度や注入層を正確に選択肢、全体のバランスを考慮した治療が必要です。術後のケアを適切に行うことで、より自然に馴染みやすくなります。

  • 鼻や顎:高さを出すために硬めの製剤を使用するケースが多く、比較的持続しやすい部位です。違和感のない自然な仕上がりには、適切な量を注入することがポイントです。

ヒアルロン酸が吸収されずに残り続けるケースもある

稀に、ヒアルロン酸が数年単位で残り続けるケースもあります。これは「被膜形成」と呼ばれる現象が原因です。

被膜形成は、体内の異物反応により、異物と自分の組織の間にコラーゲンの薄い壁(被膜)が作られる現象です。ヒアルロン酸は体内に存在する成分ですが、注入されたものは異物と判断されることがあります。

被膜により吸収が阻害されると、想定よりも長期間ヒアルロン酸が残存します。また、被膜形成に伴うしこりが生じる場合もありますが、これらはヒアルロン酸分解酵素の注射により溶解可能です。

ヒアルロン酸が吸収されるスピードを早めてしまう原因

主な原因として、以下が挙げられます。

  • 製剤の選択が不適切
  • 生活習慣の乱れや体調管理不足

注入したヒアルロン酸の吸収が早くなる原因として、まず製剤の種類が部位や目的に適していない場合があります。適切でない製剤選択により、期待した持続期間を得られないことがあります。

また、睡眠不足や過度な飲酒、食生活の乱れ、ストレスなどの生活習慣の乱れ、血流を促す行為は吸収を早めます。美肌を保つためにも規則正しい生活を送りましょう。

ヒアルロン酸が吸収されないときの対処法

仕上がりが期待と異なる場合や、長期間残存している場合には、ヒアルロン酸分解酵素による分解が可能です。

ヒアルロン酸分解酵素を注入した直後から分解が始まり、分解反応が持続する時間は約24~48時間が目安となります。ただし、ヒアルロン酸の種類や量によっては、複数回の注射が必要な場合もあります。

ヒアルロン酸注入ならフィラークリニック

ヒアルロン酸が吸収されるメカニズムはお分かりいただけましたか。

個人差はありますが、適切な製剤選択と正しいアフターケアにより、理想的な結果を得やすくなります。

当院は数少ないヒアルロン酸注入専門クリニックとして、患者様に最適な治療計画をご提案いたします。

ヒアルロン酸注入に関するご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

監修医

福岡院院長 笠 智就
フィラークリニック 福岡院院長
笠 智就

香川大学医学部卒業後、整形外科・大手美容外科を経て、
2023年10月よりフィラークリニック福岡院の院長を務めております。
月間200症例以上のヒアルロン酸注入を行っており、
クマ取りをはじめトータルアンチエイジングを得意としています。
自然に、でもしっかり効果を出すために、
解剖学的な知識を元に「どう入れるか」にとことんこだわった治療を行っています。

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